日産自動車前会長のカルロスゴーン氏が2018年11月に金融商品取引法違反容疑(有価証券報告書虚偽記載容疑)で東京地検特捜部に逮捕され、その後特別背任容疑でも逮捕されています。
これについてゴーン氏がいかに会社を私物化して贅の限りを尽くしたかや逆に100日以上勾留されてさすがに日本の司法制度は人質司法だなどと言われています。
いろいろな情報が錯綜していますのでいわゆるこのゴーン事件について出来るだけわかりやすく要点をまとめてみました。
Contents
カルロスゴーンはなぜ逮捕されたのか?
逮捕日 | 逮捕容疑 | 内 容 |
2018年11月19日 | 金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載) | 2011年~2015年の5年間役員報酬約50億円分を過少に申告 |
2018年12月10日 | 金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載) | 2016年~2018年の3年間役員報酬約40億円分を過少に申告 |
2019年3月6日 | 特別背任 | ゴーン氏が株取引で出した自らの約18億円の損失を日産に付け替えた疑い |
2019年4月4日 | 特別背任 | 日産中東からオマーンの販売代理店へ販売促進費の名目で資金を送金し、妻や息子が経営する会社(ペーパーカンパニー)の口座に還流させた疑い |
8年間で約90億円分の役員報酬を記載しなかった有価証券報告書虚偽記載容疑
最初に逮捕された容疑は有価証券報告書の虚偽記載容疑です。
ゴーン氏は年収20億円ほしいと思っていましたが一方で日産の日本人社員をリストラしたりコスト削減を行っていました。
そこで周囲からの【もらい過ぎだ】という批判を避けるため年収を約10憶円と記載し差額の年間約10億円分を退任後に受け取る仕組みにしていたというものです。【2010年から年間1億円以上役員報酬を受け取る場合は名前や金額を有価証券報告書で開示が義務付けられました】
この退任後に受け取る予定だった8年分総額90億円を有価証券報告書に記載しなかったことが果たして虚偽記載と言えるのかが焦点となっています。
またゴーン氏は会計の細かいことまでは分からないでしょうし、有価証券報告書はゴーン氏が作成するわけでは当然ありません。
これは会社ぐるみで行われたと考えるの普通ですであり、ゴーン氏個人の責任と言えるのかという点で疑問が残ります。
特別背任容疑①株取引の損失を日産に付け替えた容疑
2つ目の容疑はゴーン氏が株取引で出した自らの約18億円の損失を日産に付け替えたと言われる容疑です。
これも当然1人では出来ない事ですのでその他の取締役の責任も問われて当然です。
西川社長や他の取締役は司法取引によって免責されたと見られています。
特別背任容疑②オマーンルート
これは特別背任容疑①のゴーン氏が株取引で出した自らの約18億円の損失を日産に付け替えるために行われた取引と見られています。
日産の子会社である日産中東からオマーンの日産の販売代理店へ販売促進費の名目で資金を送金し、レバノンなどを経由しゴーン氏の妻や息子が経営する会社(ペーパーカンパニー)の口座に還流させたと言われています。
会社の費用として名目を付けて支出することで自身の損失を会社に付け変えたと見られています。
どの容疑も他の取締役もそうですが経理財務担当の課長レベルでもわかるような内容です。
中小企業の社長ならまだしも日産レベルの会社がトップの私腹を肥やすためにこれだけのことを行うのはゴーン氏が絶大な権力を持っていてその横暴を企業として全く止められない日産のガバナンスの機能不全状態に驚きます。
ゴーン氏逮捕や司法取引の裏にどのような背景があったのか
20年前の1999年にルノーは日産に資本を出資しそしてゴーンを送り込み日産を救いました。
20年後の現在は立場が入れ替わり技術力や販売力の高い日産が親会社のルノーを食べさせる状態になっており、現実に日産はルノーに巨額の配当金を毎年支払っています。
ルノーや(ルノーに15%出資している)フランス政府としては日産を手放したくはありません。
逆に日産としてはすでに恩は返したので独立したいと考えていたと言われています。
その日産の独立を阻止しようとフランス政府(マクロン大統領)がゴーン氏に早く経営統合して1つになるように指示したと言われています。
その経営統合の動きに危機を感じ取った西川社長以下経営陣がこのままではルノーやフランス政府に飲み込まれてしまうので司法取引まで行ってゴーン氏の失脚を画策したとみられています。
まとめ
日産自動車前会長のカルロスゴーン氏が有価証券報告書虚偽記載容疑と特別背任容疑で逮捕され100日以上勾留されました。
個人的には罪の有無は別にして、日産を自分の意のままに私物化しやっていることがあまりにセコくイヤしく完全にリーダーとしてふさわしくないと思います。
当初はルノーやフランス政府もゴーン氏を擁護するような発言がありましたがあまりに自己中心的なゴーン氏の言動をかばいきれなくなり特別背任容疑で逮捕された後、ルノーのCEOも解任されています。
とはいえ、100日以上の長期間拘留して身体的精神的に追い詰めて自白を迫る日本の司法制度にも大きな問題があると思うのでこういった世界的に注目されているゴーン事件を契機に海外からの批判を受けることで良い方に改善していってほしいです。
いずれにしてもこれから裁判で全容が明らかになってくると思いますので注視していく必要があります。
また新しい情報がありましたらブログで公開していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。